「楽しいどんどん焼き」(3枚組) 遠藤 啓

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 作者は毎年のようにこの場に出かけ印象的な作品を生み出しているのだが、今回のこの作品を見ると、作者がどれだけこの場になじみ、親しく人々と関わっているかということがよくわかる。①は、持参した餅をうまく焼こうと一生懸命な子どもたちの姿をすぐ後ろまで寄って行って撮っている。②自分で描いたダルマの顔を得意そうに作者に見せる子ども。③焼けたばかりの餅を口に入れたままカメラに向かってその素顔をさらけ出している子。よそ者が遠くから「どんどん焼き」を狙うのとは違い、作者自身をもこの場に放り込んだような写真が3枚に組まれている。子どもたちの姿や表情に絞った3枚を組むことで、子どもたちを大切にしているこの地域のコミュニティーの在り様まで見えてくる。まさしく「楽しい」どんどん焼きなのである。今年もまた新しい素敵な作品が生まれた。