「 集 中 」  遠藤 啓

選評: 全日写連関東本部委員 中村 明弘

 タイルの床にペタンと座り込んで学んでいる女の子。その集中した姿がカメラマンの心をとらえた。教師のことばを聞き逃すまいと身を乗り出したその横顔のラインライトがなんとも美しい。耳にピアス、腕にはミサンガ…。日本の子どもと少しも変わらないのだろうが、「学ぶ姿」は圧倒的にこのカンボジアの子の方が印象的だ。それは長年この子たちと関わってきた作者だからこそ撮れたものであり、上っ面の「めずらしさ」などと言ったものではない。逆光の中にとらえた少女の学ぶ姿は、力強く、「生きる」姿としても、一つの典型を示している。それは誰の胸をもとらえるに違いない。被写体の心とカメラマンの心を結ぶものが、このすばらしいフレーミングだとつくづく思わされた作品である。