「さくら咲く頃」 遠藤 啓
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
桜咲く春の日ののどかな村の風景が描かれている。①便りを運ぶバイクの郵便屋さん、②洗濯物を干し終え、赤ちゃんを抱っこして庭に出た母親、③ウォーキング中の一休みか、ベンチに腰掛けてスマホやカメラを操作する年寄り二人。それらの頭の上には桜の花が満開である。3枚はごく平凡な日常を代表するようなシーンだが、それぞれ背景や周囲などに撮影者の目が行き届いていて、味わい深い写真になっている。それが3枚並ぶことで、題名「桜咲く頃」のイメージがどこまでも広がっていくという作品である。組写真というのは、一枚写真だけでは描き切れないものを、3枚の構成で見せるものだが、3枚だけの世界で終わらないで、そこからさらにイメージが深く豊かに広がる魅力を持つものである。




