「担ぐ」 竹之内範明 

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 汗に濡れた顔、髪の毛…、それが強い光を受け濃い影を作り、立体的な像を描き出している。男は彼に向かうその光のまぶしさのためか、はたまた疲れすぎたためか瞼を閉じかけている。担いでいる神輿の骨組みの一部がまるで太く大きな十字架の一部のようでもあり、男はそれにもたれかかっているようにも見える。彼と並ぶもう一人の男は目を閉じたまま暗い影の中にある。祭りでの一場面であろうが、こうして一部が切り取られることで、それが見る側の想像力を刺激し様々な見方を生むことがある。選者の「この想像」も作品に刺激されたことに寄る。そんな象徴性を秘めた作品である。