「円熟のお花見」 竹之内範明
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
花見に集まる人々の想いはそれぞれだが、その想いに迫った作品である。人生の円熟期にある二人の存在感が、華やいだ花見会場の中で作者の心を強くとらえた。女性を載せた車椅子を押す男性。サングラスを通して彼の目にはこの桜の世界がどう見えているのだろうか。そして女性の方は目の前にゆっくり現れ去っていく桜の様子を見ながらどんな思いを巡らしているのだろうか。二人ににこやかな会話はなくとも、この場にこうしていられる「今」を満喫している様子が見える。背景の暗い橋が画面を覆って重い感じはするが、かえって桜が鮮明になり、その下の二人をそっと抱いているようでもある。人物たちの配置、遠くに一段と輝く桜、背景中段の赤い橋と花見客の列、そして小さく囲まれた空…。そのフレーミングの見事さが、一枚の秀作を生んだと言えよう。

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