「王者の咆哮」 野崎三郎
選評 : 神尾一(支部選評担当)
動物園での撮影との事であるが、見事なシャッターチャンスで、ライオンの猛獣としての迫力を、あたかもアフリカの草原での自然撮影のような光景として捉えている。きっと粘りに粘って何枚も撮影した中の一枚であろう。撮影技術もさることながら、大変な努力作、粘り作であり、作者の熱意には頭が下がる。この作品を見て、敢えて気になる点を挙げるとすれば、これは全く作者の責任ではないが、デジタルの宿命と言うか、フィルム写真の持つ柔らかさや曖昧さに対し、現在のデジタル写真はあまりに解像度が高く、肉眼とかけ離れているので、逆にその場の空気感や、曖昧さに欠ける。どちらが良い悪いという話ではなく、シャープすぎるのはデジタル写真の宿命と割り切って、レタッチはやり過ぎず、自分が最初に感じた印象を素直に表現すれば良いのではなかろうか。何れにせよ、動物図鑑とは一線を画す素晴らしい作品である。

