「大道芸」 中田美智雄

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

コメントに書いてあるように混雑が予想されたのでコンパクトカメラで撮ったとのことですが、そうとは思えないような立派な出来ですね。これぐらいの大きさなら、全く今のコンパクトカメラは遜色ないですね。PowerShotでも最高級品の方ですから、それなりにきちっと撮れてます。 足が切れたのが気になるということですが、この場合、足を切らないようにと思えば、横位置にするしかないですよね。そうすると、手が切れてしまうか、全部を入れると今度は観客の表情が分かりにくくなるんでしょうか。このカットで良かったと思います。確かに片足ずつは切れているんですが、すっと伸びたところに余韻があり、凄く鋭角に曲げた二人の左足につま先まできちっと力がこもっている様子が伺えますね。 それと、この演技している二人がしっかりと手を繋ぎきっちりと視線を合わせていて呼吸があっており、それと、観客の視線がほぼ全員が演技している人たちに見とれていて、真ん中付近のいちばん手前で手をかざしている人や、その横で口を開けて見詰めている(歓声を上げているんでしょうか)若いお母さん、カメラを構えている人、それぞれ皆が楽しんでいる、そして、二人の演技者にとても緊張感がある、ということで、場の雰囲気を写し取っていますね。 光線がちょうど横からなんですね。順光線だと割合とべちゃっとなっちゃうところですが、横からの光で、観客の表情が浮き上がりました。午後の光線でしょうかね。

空に抜けているといっても、曇り空だとやや気になるところですが、良い具合に青空に白い雲がぽこぽこと浮かんでいて、大道芸日和というんでしょうかね、良いコンディションだったと思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約) 

「大道芸」 中田美智雄