「山里の小さな祭り」 中田美智雄

選評 : 関東本部委員 小野崎 徹

中田さんは先月もモノクロだったと思いますが、今回のほうが調子が良いと思います、黒潰れがなくなりました。特に人物などの調子が良いと思います。矢張り白いハイライト部分が、やや飛び気味なんですが、ここもチョイ抑えると、もっと良くなると思いますね。 浜松市の天竜区の山の上の本当に小さなお社ですが、そこのお祭りでしょうか 。手前の子供がハーモニカを吹いてるようにも見えるし、つまみ食いでもしてるようにも見えるし、ちょっと不思議な雰囲気ですね。

子供さんが居るのと居ないのとの両方を撮っていられて、後ろのほうの神社の中の後ろ姿で雰囲気が出るかなということで、こちらを選んだということで、私はこのアングルだったら子供が居て良かったと思います。ただ、この写真として何をテーマとして何を主にしたかったのか、子供が主役なのか、それとも子供は祭りの中の点景だったのか、その辺がはっきりしないなという感じもします。子供の扱い方ですが、この子供さんはカメラに物怖じすることもなく此処に居るので、中田さんとしては、もう一歩近寄って行ったらどうかという気はしました。例えば、ピントは後ろのお社に合わせたままで、子供はピントはボケるかもしれませんがもうちょっとアップにしても良かったんじゃないか、そして、少し階段を上がったほうが、このお社の中の人物、後姿が僅かに三人写ってますが、此処はもうちょっと人物がはっきり写ったほうが良いという感じがしました。でも全体の雰囲気としては、良く本当にタイトル通りの山里の小さな祭りという雰囲気は良く伝わってきます。

モノクロにしたのも、雰囲気が良かったと思います。

(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

「山里の小さな祭り」  中田美智雄