「中国の交通事情」 藤井多美男

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

横座りにしてハイヒールを履いて子供を抱えていまにも落っこちそうな人を見ると、中国は今は日本を目下のように扱ってるけど、やっぱりまだまだこんなことがまかり通ってるのかと感じはしますよね。こんな大きな交差点で、信号はあるのかないのか、ここで立ち尽くしてるし勝手に曲がってくし、こういう車もあれば高級車もある、今の中国の状況が凝縮されている感じがしました。

僕が感心したのは、バスの窓から咄嗟に撮ったということ、これは素晴らしいと思います。その気持ちがなければ撮れない訳ですよ、ああー通ってる間に今の撮れば良かったじゃなくて、こういうものを撮ろうという気持ちがある、だからあの3枚組【註:全日本写真連盟掛川支部後期写真展に展示した写真】が出来た訳ですね。それはとても大事だし、そうなると今度は、漫然とカメラうをオートにしたりなんかしてるとシャッタスピードが遅くなってたりしてて気が付かないうちに撮れないってこともありますね、だから最初からこういうものを撮ろうと思えばそれなりの準備をしなければいけない、シャッタスピード優先にしてきちっと止めるとか。そういう心構えも響いてきますね。そういう意味で、簡単にスナップと言っても、それなりの準備と気持ちがなければ撮れない作品だなと思いました。(講評をその場で録音して後から鈴木洋一が要約)

「中国の交通事情」 藤井多美男