「金魚」 三ツ井道代

 春未だ早いお祭りに、買い求めたのだろうか。強い光が金魚の赤を際だたせ、それを空に掲げると、空を泳ぐ鯉のぼり。澄み切った空の碧に深紅の金魚、そのコントラストは、影を描かない精緻な日本画のように美しい。背景に富士山まで用意されていて、ハレの日が誠に晴れの日に。まつりから帰り道、仲間で散策している楽しさが伝わってくる。