「ひかりを受けて」 栗田百合子

選評 : 全日写連関東本部委員 小野崎徹

ご自宅で撮影したガラスのコップですね。

これはどの辺をどう切り取ったのか良く分かりません、上から撮ったのか、下から撮ったのか、はたまた横から撮ったのか、それはどう撮ろうと良いんですけれども、色んな色の周りのものを反射して。 沖縄のガラスというのは、民芸ガラスで、滑らかじゃないんですね、独特の歪というか、厚みが均一でなくて、高級品のようにピカッとうまく光るんではなくて、如何にも泥臭い感じがするグラスですね。物資不足の時代に米軍のコカコーラなどの空き壜から作ったと言われていますけど。けっこう厚ぼったいグラスが、妙な光の加減で、非常に面白い形に見えた。そこに目を付けた栗田百合子さんの着眼点は良かったと思います。

しかも、ガラスのコップ自体を、全体を撮るのではなくて、そのものを撮るのではなくて、そこに映ったものに自分の面白いなというイメージを重ね合わせて切り取った、そこに良さがあると思います。素直な良さですよね。

露出の方も、マイナス3分の2EVという、思い切った補正を掛けて、メリハリのある仕上げにしました。

面白い着想だと思います。

(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

特記事項:撮影時とは上下を逆にしてある。

「ひかりを受けて」  栗田百合子