「草競馬A」 前田 光郎

選評者 : 関東本部 小野 崎徹

私がこれを選んだのはやっぱり、このダイナミックさですね。草競馬らしく、後ろというか横に観客席…と言っても砂浜の傾斜したところに、お客さんたちが腰を下ろして、レースを見ています。そこのところが、ちょうど良い具合にボケて、手前のダッシュしている馬と騎手にぴっちりとピントが合っています。砂煙をかき上げていく、この乾いた感じですね。先頭の騎手は割合とケロッとしてるんですが、後ろの人たちは、その猛然とこう上がっていく砂煙に、やっぱりちょっと口を食いしばってという感じですね。先頭の騎手の表情に比べると、後ろの方は、なんとなく必死な感じがします。シャッタチャンスも良くて、それぞれの表情や馬の走りも良く捉えられていて、ピントも良くて表情も良く分かると。それから何よりもこの草競馬の雰囲気も充分に描写されていると思います。

(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

「草競馬A」 前田 光郎