「ういういしい」 前田光郎

選評 : 全日写連関東本部委員 小野崎 徹

浜松のお祭り、姫様道中の腰元連が線路を渡る様子が、何故かういういしく見えた、というコメントですね。その通りに、何故か本当に皆さんカメラを意識しているのか、ちょっとはにかんだような笑みを浮かべ、やや緊張した表情もありで、非常にういういしいですね。その割には元気よく歩いていますが。

先ずこの線路の際に陣取った、この場所取りが良かったと思いますね。予測してこの場所を選んだんでしょうか、前田さんの眼力に先ず敬服ですね。と言うのも、この線路の上を跨ぐというところで、ちょっとやっぱり、この腰元連もちょっと歩き方が崩れますよね、線路の上を歩かなきゃいけないので。そこに、ちょっ

とした変化が生まれる。それから非常に構図的に線路は真っ直ぐ伸びているようで、奥行きが出て来ますよね。

で、しかもパンフォーカス、前景の雑草から、遠くの山、中景の桜ですね、全部綺麗にぴしっとピントが来ている。特にこの、500分の1という速いシャッタ速度で、人物の動きをぴしゃっと止めて、非常に良いシャッタチャンスでもあり、それぞれの表情を生き生きと撮ってると思います。

この、着物、矢絣というんでしょうかね、2種類の色があるんですが、ちょうどこの赤い色の衣装の人たちが通るところを選んだのも良かったと思います。その後ろに、ちらっと次の色が控えています、この辺のタイミングも、なかなか良かったと思います。

(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

「ういういしい」  前田光郎