「急灘(きゅうだん)」 森田 光衛

選評 : 全日写連関東本部委員 中村 明弘

1月例会提出の同じ作者の組写真「七変化」(選外)の選評に、主題がアジサイだけに「切りとり方、画面の変化、色の美しさで追究しないと平凡な作品になってしまう」と選者は書いたが、森田さんはそれに応えてこの作品を出してこられた。「急灘」は「早瀬」のこと。流れの速い瀬の様子を、風景としてでなく、面白い切り取り方で見せている。3枚の画面の組み合わせにも変化があり、光を巧く捉えた一枚一枚の色彩も美しい。瞬間の水の表情が見事にとらえられ、3枚に組むことで「早瀬」のイメージを拡げてくれる。真ん中の写真がややあいまいになったが、両脇の写真を引き立てることにはなっている。「次に何をどう撮ったらよいか…。」月例会を通して課題に向かう作者の意欲に、こちらも励まされる思いだ。