朝日新聞社賞  <舞児還し> 渡辺定幸

 灯りに飾られ、鳴りものに盛り立てられ迫ってくるのは壮観だ。しかし、その中心は、大人に守られて、あくまでも静かにシリアスな稚児。実は、祭りの中心は、神事である。勇壮さと静かな神事が同時に進行してゆく様が真っ正面から捉えられている。足元に乱舞する提灯が盛り上がる「動」と、静かな稚児とが対比的であるのがよい。