「ガラスの街」 竹之内範明

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 

人間を圧倒する都会のビル群が、ガラスの持つ透明感、冷たさ、危うさなどを包含しつつ日々変身を遂げて行く。その姿を大きなスケール感を失うことなく繊細に描いている。本来、垂直と水平からなる建築物を、斜めのラインを大胆に生かし、緊張感のある画面を作っている。そんな近代的な街が作られている世界に、烏、雪、人の群れなどが小さく入り込んで、少しアンバランスな感じはあるものの、作者らしいほっとするような世界に仕立て上げた。この組写真の狙いはそのあたりにあったのだろう。ユニークな作品である。