「さえずりの時」 池田是伸

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

「モズの高啼き七十五日」…モズの高鳴きを初めて聞いてから75日目に霜が降りだすとして農作業の目安にしているところもあるそうだ。ほほけたセイダカアワダチソウの穂につかまりながら一生懸命さえずる様子から、このオスも秋の縄張り争いに必死なのだろう。バックの枯草がぼけて、美しい画面を作っている。特にモズの周囲が少し明るくなって、小さな円を作っているのがなんとも「にくい」ほど巧みである。超望遠レンズでとらえた真摯に生きる小動物の姿に、さわやかさを感じる作品である。

 

「さえずるの時」 池田是伸