「真夏の街」 竹之内範明

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 

都会のショーウインドウに映りこんだ映像は、現実の光景と入り混じり新鮮なそして刺激的な光景を作り出す。その魔術にかけられたかのようにしてシャッターを切っていく作者の胸の鼓動が聞こえてくるようだ。巨大な魚と赤い球体の写真を左右に配置し、それに挟まれるように現実を入れ込むことで、尋常でなかった夏の虚実のイメージ世界を、行ったり来たり彷徨う仕掛けになっている。真ん中の写真に何か別なものを入れても良かったかもしれない。そういう意味でまだまだ可能性のある組写真である。