「談 笑」 矢島一美

選評 : 関東本部委員 中村明弘

 派手な衣装に祭り足袋の一群。後ろ手の男性はどうも本物の自衛官らしい。左にジープも見える。迷彩服とど派手な祭り衣装…。この組み合わせが異様な雰囲気を作っている。いったい何が起きているのだろう…。これから踊ってねり歩こうかという若者たちが街の真ん中で自衛官に呼び止められたのだろうか…。この写真の題名からすると、そうでもなく、笑い声が聞こえてきたというのだろうが、彼らがここに陣取ってしまったので、ハンドバッグを持った女性が迷惑そうだ。その女性と右のペットボトルを持った女性もマスク越しだがなんだか目が笑っているようだ。街中が今、そんな盛り上がりを見せているのだろう。通りには日の丸と星条旗が掲げられ独特の雰囲気を漂わせている。この迷彩服の自衛官の長靴と、踊り衣装の若者たちの祭り足袋(地下足袋)が、円を描いて並ぶこの光景が、この「祭り」の在り様をある意味で象徴しているのだろう。低い位置からの撮影が彼らの足元を見逃さなかった。タイミングよく、さらっとそれをスナップ撮影してしまう作者の目は、冷静だ。