「 花火 」 阿部美智子

選評 : 関東本部委員 中村明弘

打ち上げられた花火を写そうと携帯を構えた女の子の姿に「今」を感じる写真だ。その隣で口を開けた女性の表情や、そのまた隣の小さな子の大きく目を見開いた表情も実に生き生きとしていて、花火が開いた瞬間の驚き、感動がここに凝縮してとらえられている。作者もその瞬間に反応したためだろう、画面が斜めになってしまったのと、近くの街灯の強い光が入り込んでフレアやゴーストを生んでしまったが、これはこれで臨場感が出ていて面白いわけだから、やっぱり、写真というのは「面白い」ものだ。

 「花火」 阿部美智子