「 襲 う 」 池田是伸

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

カワセミが手前の石を超えて獲物に向けて襲いかかる瞬間を正面からとらえた珍しい作品である。ねらいはカワセミの鳥形の美しさではない。作者は正面からの、この一瞬が撮れるかどうか、そこに挑んだのだ。その作者の目と心は、まさしく獲物を狙う狩人のそれにちがいない。ピントが来ているのは画面の中でカワセミの頭と石の一部だけで、あとは全体をぼかしている。そのことで臨場感が出ている。作者独自の視点が撮らせた写真。大切なのは、そういうものを出そうという意思を常に持って被写体に向かう作者の強さなのだろう。そこから写真に映像としての新鮮味や、迫力が出るのだと思う。マンネリズムに陥らない、若さのある写真だと言えよう。

「 襲 う 」  池田是伸