「不思議の国へ」鈴木裕子

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 コロナ禍で、心が疲れ切っているせいだろうか、この写真を見ていると形やモノの大きさに対する固定観念が、ふわふわっと混乱してきて不思議な浮遊感に包まれてくるようだ。「どうなっているんだ、この世界!」と、どこかに向かって叫びたくなる。特別なポーズをさせるでもなく「普通」に撮っていることが、二人の自然なポーズを引き出し、この空間をより奇妙なものに仕立て上げている。青空に浮かぶ白い雲の存在も大きい。