「雀の羽ばたき」 野﨑 三郎
選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾 一
一見すると、ニューヨークか、パリの裏通りを連想させるが、れっきとした日本の街でのストリートフォトである。作品自体は、ブレッソンや、ソールライターを想起させる様な、午後の日が差し込む、街の店先に発現した面白い形の影に惹かれて、それを主題として、周囲の人物や、店のポスターなどを写し込み、その街の生活感、空気感などをうまく表現していると思う。モダンなストリートフォトなので、タイトルはそのものずばりの、『雀の羽ばたき』ではなく、もう一ひねりして、より写真の内容に適した物にした方が、作品の良さが更に引き出されたかもしれない。とかくコンテスト狙いの寄った写真や、アクの強い作品が多い中、すっきりとした夏の清涼飲料の様な爽やかな印象を与える良い作品である。