「一休み」  加藤 利光

選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾 一

 四十雀だろうか、飛び立つ蛾を一瞬にして捉えた、狩りの様子を写した素晴らしい作品である。全体的に躍動感が有り、四十雀の黒っぽい頭部が背景に溶け込まぬように明るい円形ボケの中に抜いたりと、撮影テクニックも素晴らしい。野鳥の写真はよく目にするが、多くの場合、枝先に泊まったり、柿などの餌をついばんだりという絵柄を目にする事が多いが、何れの場合も鳥の可愛さが主流で、本作品の様な野生本来の生態を写しとめた作品は珍しいのではないか?望遠レンズで背景を綺麗にぼかした事で、グラディエーションの変化も見事で、山間の爽やかな空気感もよく表わされていると思う。鳥の習性をよく理解した、事前のち密な計算が有っての成功作と言える。