荒磯に遊ぶ(3枚組) 竹之内範明

 選評 :全日写連関東本部委員 中村明弘

 人は何故わざわざ危険なところに出かけるのか…。それは永遠のテーマだが、この作品でも、打ち寄せる荒波に削られた岩場に、たくさんの人間が集まっている。しかし、ただの楽しい光景ではなさそうだ。①③でスマホを構えた女性たちの足元は何とも危うく、夢中になって写真を撮る姿が「不安な光景」となっている。自分の身を危険にさらしてまでも「映える場所は魅力的なのだろうが、「大丈夫かな」とちょっと心配になってくる。②は、手前の幼い男の子の精一杯足を伸ばして岩場を乗り越えようとしている姿が効いていて、何とか①③と繋がった。改めてこの作品を眺めてみると、ゾゾっとしたものが足元から伝わってくる。作者がこの3枚で伝えたかったものも、それだったのかもしれない。