「 Stranger」 樋田 進
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
まるで異界から登場という感じで電車の改札口を通り抜けようとする人物。「ぎょっと」させられるのだが、面白いのは周囲の人間たちである。まるで「我関せず」と行った表情なのだ。これがまさに都会に暮らす人間たちの「流儀」なのだろうか。「見て見ぬふりをする」あるは「他人は他人」だと…。Strangerには、「見知らぬ人」、「他人」などという意味がある。この作品では奇妙な恰好をした人というほどの意味なのだろうが、作者は、ただその人物だけでなく、周囲との関係性をも描き出そうとしている。そこに作品としての深みがある。