「ジャングルブック」 望月導章
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
子どもたちのお気に入りの秘密っぽい遊び場らしいのだが、大きな流木を覆うようにして周囲の木々の枝が茂っている。子どもたちの冒険心を掻き立てるには十分なところだ。作者は彼らの自由な遊びを妨げることのないように気を配りながらカメラで追う。この場面、巨大な生き物の手のような流木と、その上に飛び乗っている少年の姿が、まるで深いジャングルの中での物語の一場面のように描かれている。低いポジションからのローアングルの撮影が、逆光気味の中で功を奏した作品である。精緻な描写を生かした丁寧なプリントで、見るものをフィクションの世界に誘ってくれるような作品である。