「ボクの友だち」 望月導章

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 手のひらにカブトムシを這わせて、ひょいっと顔を上げた少年。手のひらに当たる光がスポットライトの様にカブトムシを描き出している。わずかにカメラのレンズから目をそらしたところをとらえたことが、この作品を意味深いものにしている。少年が手を開いたのは作者にカブトムシを見せるためだろうが、笑顔ではない。手にしがみつくカブトムシの足の動きに気持ちが向かっているのだろうか、慎重に手を開き、そして少し不承不承のようでもある。そこに少年の想いが現れているようで微笑ましい。大きな帽子のつばの作る黒いカーブの切り取りもこの作品のイメージに関わって効果的である。