「五月晴れ」(3枚組) 近藤文徳

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 圧倒的に②の仰向けに寝っ転がった猫の写真が面白い。この一枚だけでも「五月晴れ」として成立しそうだ。3枚に共通しているものは「地面に映る影」。相互に関連するのは②③の「猫と魚」、①②③の「曲線、曲がり、揺れ」など。見方によっては他にもみつけられるだろう。いずれにしても、3枚が複雑にかかわり合いながら、根底には、「五月晴れ」の日の、穏やかな昼の様子が描かれている。縦画は、周囲の空間というより、そのモノ自体が強く描き出される。それを組むことで、そのモノが発する強いイメージが、3枚のかかわりを通して重層的にイメージを作っていく。この作品では、こんな穏やかな日のあることの安心感のようなものが、少しユーモアを含めて淡々と描かれている。