奉納の刻(3枚組) 松井秀実
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
寺の春のイベントなのであろう。①桜の下での琴と尺八の演奏が聞こえてくる中、②境内では書家が奉納の書に格闘の最中…である。太い筆が動くたびに墨は腕にも着物の袖にも跳ね上がる。③彼女の書き上げた書の横を、経を唱えながら石段を下る住職。後ろから春の温かな光が和尚さんの丸い頭に柔らかく当たっている。なんとものどかな雰囲気が漂ってくる。その中で3枚組を引き締めるかのように、書家の厳しい表情が印象的である。この1枚がこの作品を見事に支えている。




