「儀礼の刻」 齋藤成伸

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 消防団の出初式の一枚。広い会場に市内の消防車が集まっている。もちろん団員もたくさん参加しているはずだが、作品は「とび口」を持って立つ二人の消防団員の緊張した姿をとらえている。背格好の似た二人はまるで鏡に映っているようで、瞬間「あれ?」と思わせる。「とび口」をまっすぐ持って立つ二人の姿勢と、後ろにきっちりと整列した消防車の列とが、画面に垂直水平を描き出す。静謐な空気感が伝わってくる。作者の心も会場全体と呼応して、張り詰めたものだったに違いない。それがこういうフレーミングを選択させたのだろう。