「今年の夏も電力厳しいニャン」 加藤洋一

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

潮騒橋のところですかね、風車が並んでいる。今回は、そこで3点の作品を出されましたが、私は、コメントを読む限りでは加藤さんはあまり気に入ってないようですけどこの可愛くない猫を撮った作品が何かちょっと不気味な感じがして面白いと思いました。先ず、この化け猫になりそうな充血したような目つきの猫の表情が何とも言えないですね。この向こうに浜岡の原発がある訳ですが、風車の列と、非常に効果的な手前の砂浜に落ちている風車の大きな影。その羽根の先端に猫があまり可愛くない顔をして何となく因縁を付けられて撮られるのを嫌がってるような感じが何とも言えないですね。 非常に無機質な感じがしますよね、風車も橋も。ちょうど通行人が居ない、コンクリートの塊のような面白い形の橋ですけれど。砂とコンクリートと白い風車と非常に無機質な風景ですが、この中に猫がただ一匹、非常に不機嫌な顔をしている。なんだか、去年からの原発騒ぎ、今年の電力不足、浜岡は停めるの停めないの津波がどうのと、非常に話題の場所ですが、そういう中で平穏に暮らしたい猫も不機嫌なのかなというのは、考え過ぎなのでしょうかね。 私は3点の中ではこれがいちばん面白いなと思いました。 で、シャッタ速度を15分の1秒にしたかったというけど猫はさっさと逃げてしまったと。80分の1秒だと、風車はゆっくり回っていますので、なかなか風車の動きが出しにくいと思います。で、どちらを取るかですよね、猫もじっとして呉れない、風車も80分の1秒では止まってしまう。やっぱり30分の1秒以下でないと風車の動きは無理だと思います。猫がじっとして呉れないということで、その辺は素早く連写モードででも撮ったほうが良いと思いますね。これでちょっとでも風車の羽根がブレてて呉れると、また違った感じになったのではないでしょうか。それでも、この猫のシャッタチャンスは良かったと思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約) 

「今年の夏も電力厳しいニャン」 加藤洋一