「北遠の里・語らい」 中田美智雄

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

中田さんがこの頃追っているテーマですね「限界集落」北遠の里。その中の「暮らし」、お年寄りが多いですね、今まで拝見した中では。そういう「暮らし」を追いかけていますが、これは珍しく赤ちゃんを抱いたお母さんが写っています。 お婆ちゃんと若いお母さんの語らいの場面ですね。限界集落でなかなか人に逢うことが出来ませんと書いてありますが、この語らいの風景は、何かとてもほっとさせる、和む物を感じさせます。特にこの、家の様子、人が住んで居るのか居ないのか、兎に角、可也もう、荒れたような感じですね、段々段々こうやって地方が疲弊して行くのでしょうか。 そんな中で、この若いお母さん。丁度、お母さんの方は明るい日向の方、お婆ちゃんはちょっと日陰で石垣に寄っ掛かっています。この距離感、それからお母さんが首を一寸傾げてにこやかに話してる様子、非常に良いシャッタチャンスですね。 一寸、赤ちゃんが、しっかりとくるんで前で抱いているので、分かり難いのが残念ですけれども、中々しみじみとした作品だと思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約) 

「北遠の里・語らい」 中田美智雄