「灯ともしころ」 菅田芳文

講評: 大西みつぐ

 街の灯りは、こうした時間帯が格別に美しいものです。映画「男はつらいよ」の寅さんではありませんが、「きっと卓袱台を囲んで家族が夕飯を食べているんだ」という私たちの本能としての「帰るべき家」のイメージがここにあります。どこか外国の風景ですが、色調が透き通るように美しく、ずっと写真を眺めていても飽きることのない作品です。こうして「風景」とは、絶えず「人間」に関わるべきものであるのでしょう。