「光景」 内野利江子

講評: 大西みつぐ

 タイトルを「光景」とすると、ある意味でいろいろとごまかせてしまえるものなのですが、この作品はまさに、なにかを訴え、あるイメージへと導くものでなく、作者から差し出されたこの景色を、私たちが勝手に読み取っていくというものだと思います。荒っぽいトーンにそのあたりのヒントがありそうで、建築中の構造物が醸し出す無機質感は都市の中にあって常に傍観者でしかない私たちの立ち振る舞いを想像させます。