「雲の彩り」 渡辺行庸

講評 : 大西みつぐ

 微動だにしない富士山に対して、滲みをイメージさせるようにたなびく雲がよいコントラストをつくっています。雲はまたレリーフのようにうっすらとした立体感をも感じさせます。また写真を逆さにして見たならば、まるで湖面に映し出された風景を見ているような雰囲気もあります。霊峰富士山を精神的でシンボリックな存在として描いているようにも思えます。力強く大胆に表現された富士山をもっと見てみたいと思います。