「裏通り」 本杉芳一

講評 : 大西みつぐ

 駅前、下町、城下町、港町。どこでもよいのですが、私たちが求めている町の「情緒性」には案外共通点があります。ひとつにそれは密集感、あるいは懐かしさ、また不思議なモノの存在など。それらは「昭和」という言葉にも集約されたりします。この作品はひとつの完成形として実にうまく組まれています。そんな意味でいえば新しさはないのですが、一枚づつ的確にしっかり撮られていて、写真の手技といったものを十分に感じさせます。