「トンレンサップ湖に生きる」 遠藤 啓

講評 : 大西みつぐ

 インドシナ半島最大のこの淡水湖はカンボジアの人びとの暮しに密着した湖。今では「クルージング」もできるようです。これらの3枚がそんな折りに撮られたのかは定かではありませんが、タイトル通りの真摯なまなざしを感じさせます。観光に徹すれば、民芸品店やマーケットなどの情景も組み込むからです。逞しく生きて暮すこどもたちの瞳を覗き込むようにして撮られた3枚に、地雷被害者の現状や、農村の貧困と格差などといった問題も浮かび上がり、社会的風景のもつ意味、被写体からのメッセージが伝わります。