「新春にに舞う」 古池貞夫

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

青い海の色と白い波しぶき、手前の防波堤の黒い岩でしょうかコンクリートでしょうかと錆びた鎖、この取り合わせがシュールな感じがしますね。 何度も何度もシャッタを切られたと思うのですが、その中で波しぶきが踊っている様に見えるものを選ばれたということですね。本当にこの波しぶき、ちょっとこう水が冷たくて粘ってるような感じがしますね。じーっと形を見ていると、色んなものに見えてきます。確かに、手を広げて躍り上がってるようにも見えます。手前の錆びた鎖や石に体当たりをしているような感じですね。 面白いイメージですし、なかなかこんな風に思い切って選ぶのは、普段と違う被写体で、けっこう頭を切り替えたり、どう撮ろうかと迷ったるするんじゃないかと思います。 でも、素直な気持ちで、見たままを何とか絵にするのも写真の面白さですよね。しかもこの、写真で一瞬を切り取るということは、眼で見ててはこの波しぶきの形の面白さというのはなかなか焼き付けるのは難しいんですが、何となくイメージとして頭の中にイメージとして入ってきますけど、こうやって一枚の写真に動きを止めて見てみるとまた違った味わいがありますね。これが写真の面白さ・意外性だと思います。その面白さが、伝わってくる、そんな良さがあります。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

「新春に舞う」 古池貞夫