「だいじょうぶよ!」 加藤洋一

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

これは鳩と戯れる親子連れなんですが、お嬢ちゃんはもう鳩を怖がってますよね。まぁ、鳩もこんなに近付いてくると、ちょっと不気味ですよね。 しかも3羽も近くにいるので、お母さんにしがみついてます。お母さんが、笑いながら、大丈夫よと悠然としていますが、この、ばっちりした表情の対比、上手く捉えています。

加藤さんも感想に書いているように、「母親の余裕のある表情・子供の怖がる顔が対照的に写り、また鳩の止まる位置が良い物を作品とした」と。そうですね、この女の子のコートのフードに止まってるから余計に子供は怖がっちゃいますよね。それにしても随分と慣れた鳩です。 それで、ちょっとトリミングして、母親の顔・子供・母親の手先が対角線に来るようにしたということですね。このトリミングは、的確だと思います。やっぱり、お母さんの延ばした腕が、画面の中で最も長い対角線に沿って延ばされており、ポイントが出来易いですよね。その対角線上に、お母さんの笑顔・べそをかいた子供・鳩と、みんな主役が並んでいて、ちょうど真ん中の付近に鳩が1羽・左上のほうに人間の顔と、バランス良く配置されています。 シャッタチャンス、太陽の光線の具合(子供がちょっと半逆光みたいになってますが、そのために良く表情が出ました)、とても良い作品だと思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約) 

「だいじょうぶよ!」  加藤洋一