「里山に暮らす2」 中田美智雄

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

先月に引き続き、里山のシリーズですね。 これは1・2・3と一人の里山のお婆ちゃんをテーマにしていますね。話をしながら撮らせて貰ったということですが、この2が、とても良い表情で、家に居てもすることがないから野良仕事をしているという、何か、この人の言葉が、そのまま写真の雰囲気に出ているような気がします。 ポツネンと座って、中田さんと話をしてるんでしょうかねえ、この表情・この仕草が良いですね。背負い籠、手前に農機具が斜めに横たわっていますが、こういう、さりげなく置かれた物が、とても良い脇役として、このお婆ちゃんを盛り上げているというか、引き立ててますね。 バックの人気のない昼下がりのこの家並み、これがまたキリキリっとピントが来てる訳でなく、少しぼかした、この感じが、奥行きがあって良いですね。手前はキッチリと描写されていて、後方が少しアウトフォーカスになっていて。 ここのところ中田さん、ずっとモノクロですが、このシリーズ、モノクロで捉えた表情はなかなか良いですねえ。勿論、撮るときはRAWで撮っておけば、どちらにでも使える訳ですから、例えば、これから先、此処に通うのでしたら、四季の変化を上手く取り入れて、その中で生活する人を捉えて行けば、また厚みが出てくるんではないかなと、思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約) 

「里山に暮らす2」  中田美智雄