「アッパレ富士」 後藤 尚

 宵が迫る仮設舞台にヨサコイを跳ねる少女連。踊りの上手さより、黄色い掛け声、その振幅を何倍にも跳ね上がらせる黄色い衣装が鮮烈だったのでは。宵の明るみで見る少女たちは、天使のようにも、女のようにも赤い袖が翻る度に変身して見えてしまったエロスな夏の夜の夢、そんな体験が伝わってくる。写真は、決して上手に仕上がっているとはいえないが、一生懸命に被写体に向かっている姿が見えくるのがいい。