「セイウチ」 大和善信

 デジタルテクノロジーは、これまでの銀塩では出来なかった水の粘度という質感の表現を可能にした。日常的に我々は、水に粘りを感じはしないので、視覚的な認識もそれを捉えられない。デジタルは、そんな人間の視覚認識を、この写真に顕れているように変えてゆくことになるでしょう。デジタルは、水にとどまらず、色、ピント・・・などと、予測出来ないほど様々な人間の感覚の変容をもたらすに違いない。河馬の顔もおもしろいが、それを支えているのはやはり水面の表情だ。