「アリとキリギリスの大相撲」 加藤洋一

選評 : 関東本部委員 小野崎徹

茸の土俵でですね、螽斯の鼻っ柱に蟻が取りついて、まるで二人で睨めっこをしている様な、面白い作品ですね。良く撮れたなと感心します。

本当はもっと全体が写っているのを思い切ってトリミングしたので少し画面が荒れてるということですが、荒れてることが良く分かる部分は、土俵の下の部分のバックの暗い部分ですね、こういうところにノイズが出易いのですが、そのほかのところは、さほど目立ちません。充分、観賞に耐える荒れ方だと思います。 この絶妙のシャッタタイミングですね、まぁ現実にはどちらも大慌てなんでしょうけれど、本当に睨み合っているように見えるし、螽斯の恰好が土俵際で踏ん張ってるようにも見えるところ、中々面白い含蓄のある作品ですね。 しかもちゃんとピントがキッチリと狙ったところに来ているので、大延ばしをしても全然破綻が出ませんね。むしろ此の羽根の透けているところ、後ろ脚の方、その辺が非常に良く描写されています。 見事な生き物の生態写真だと思います。(録音テープによる講評を鈴木洋一が要約)

「アリとキリギリスの大相撲」 加藤洋一