「浸食」 竹之内範明

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

繁茂する植物群に建造物が覆われていく姿を写した3枚。組むことで、そのことの意味を強いメッセージとして伝えている。それは植物たちのすさまじい生命力ととらえることも、また、人間社会の繁栄の儚さを暗示しているととらえることもできよう。いずれにしても目の付け所もよく、作品としての結晶度も高い。覆われる人工物の形をもう少しプリントで明快にしたかった。その点、右の一枚は、はっきりしていてこの組写真を支えている。