「 登校 」 大川道雄

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

背景の山が暗く落ち、やや逆光気味の光を受けて、早朝登校する少女が浮き上がった。ヘルメットと肩にかかる長い髪、しっかりと腕に抱えられた白いバッグなどのラインライトが印象的だ。足元の鉄柵の影のゆがみが、平たんでない坂道の厳しさを伝えている。そういう中、カメラと対峙するようにまっすぐ前を見つめ、口元をきりっと結んで進んでくる少女の姿が、この写真の魅力となっている。

「登校」 大川道雄