「 芸 」 澤口善直

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

三味線弾きの女性に焦点を絞った組写真。同じ場面であろうが、3枚に変化をつけている。その大胆な組み合わせが、写真に向かう作者の「勢い」を感じさせる。。

小さなイベントに仕組まれた「舞台」ではあろうが、まさしく三味線「芸」にかけるこの女性の「凄味」のようなものが描き出されている。強烈な顔のアップ写真を真ん中に仕組むことで、このイベントそのものの表層を引っぺがして「芸」という世界の奥深くに見るものを引き込んでしまうのは、まさしく作者の個性の強さからくるものだろう。こんなに顔をアップにしなくても…、という拒否反応も含めて、「おもしろい」組写真である。