「訪問者」(3枚組) 遠藤 啓

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 「侵入者」ではなく、「訪問者」としたところが、人間味あふれる作者の被写体との対応力の優れたところである。夏、自宅に入り込んでくる小さな生き物たち…。それをいつでも写真に撮ってやろうとカメラを用意しているということだ。そう言われれば、写っている生き物たちがそこにいるのが当然というように堂々としている。
 単純になりがちな3枚に変化をもたらしているのは、画面を印象付ける曲線、垂直線、斜め線の存在であり、ちょっとした色彩の変化である。3枚に組む時点で、それらのことは十分考えられての構成であろう。小さなこれらの生き物の静かな息遣いまでもが感じられ、人と生き物が暮らす小さなドラマを見ているようでもある。

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