「流木寄せる浜」(3枚組) 竹之内範明

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 浜に打ち上げられた流木は、多くが土砂災害による倒木などが海に流れ込み海岸に打ち上げられたものである。そういう点では、「残酷」なものを感じさせるのだが、流木それ自体の造形性や、いかにも他所者のようにして浜辺にある姿にはカメラを向けたくなるものだ。作者は、その流木を凝視している。そして流木の姿に別な生き物の姿を見ているようなところがある。それはただ「似せた」ものの羅列ではなく、流木に新たな生命を感じ、その息遣いや動きのようなものを捉えようと3枚に組んでいる。この作品をじっと見ていると、「再生」とか、「生き返す」という言葉が浮かんできた。そういう作品である。