「 夕暮れ 」  遠藤 啓

 選評: 全日写連関東本部委員 中村 明弘

 夕暮れ時のごく普通の光景を、丁寧に写しとめ3枚をみごとに構成した作品である。①電線に群がる鳥たち。ねぐらに帰る前の一休み。②両手に杖を持ってポールウォーキング途中の老人。暮れゆく西日を見送っている。③車のライトが付き始める。道端のコスモスの花たち辛うじて色を見せる。しかし、それもつかの間、電線の鳥たちもねぐらに飛び立ってしまい、夕日もあっという間に低い山に沈む。コスモスもやがて闇に紛れてゆく。そんな儚い風景の組み合わせが作り出す世界は、どこまでも静かで、幸福である。明日もまたこんな幸せな光景に出会いたい、そんな作者の想いも伝わってくる。